国内で初雪が降ったところがどんどんと増えてきており、本格的な冬の寒さを感じる季節になりました。
今年の降雪予報は、例年並みか少なくなると言われていますが、雪の対策はしっかり行っていきましょう!
さて、今回ご紹介する野菜は、緑黄色野菜の代表格「ほうれんそう」です!
ほうれんそうは、スーパーなどで一年中購入することができる野菜の1つですが、旬は冬の寒い時期になります。
中でも「寒締めほうれんそう」は、冬場のみ食べることができるほうれんそうです。
冬の寒さに当たると、野菜の甘味が増すことは古くから知られていることですが、「寒締め」という栽培技術は、北国の寒さを利用して、ハウス栽培でも糖度やビタミンの含量の高い野菜を作るために開発されたものなのです!※1,2
寒締めほうれんそうは、通常のほうれんそうとは異なり、地面に張り付くような姿で生育します。
また、寒さに耐えられるように、葉が縮んでごつごつとした感じの厚みがある葉が特徴です。
一見不格好に見えるかもしれませんが、調理をすると甘味が強く、えぐみも少ないので非常に食べやすいです。
最近では、寒締め専用に作られた「ちぢみ系ほうれんそう」の品種も多く開発されています。※3,4
冬場のほうれんそうは、根元見てみると赤くなっていることがあり、冬場では美味しいほうれんそうの見分けるポイントとしてよく知られています。
実際に、国立の研究機関においても、寒締めしたほうれんそうでは糖(ショ糖)やビタミンCにくわえ、ポリフェノールの一種である総フラボノイド等が増加することを明らかにしています。※5
ポリフェノールは、高い抗酸化能を持つ色素の1つなので、ほうれんそうを選ぶときには、ぜひ「根元」に注目してみてください。
一方で、軸がもともと赤い品種の「赤軸ほうれんそう」というものもあります。
火を通して食べる印象が強いほうれんそうですが、アクが少なく、サラダなど生食でも楽しめる品種なので、ぜひこちらも見かけたら購入してみてはいかがでしょうか。
そこで今回は、冬の時期のほうれんそうを比較してみました。冬季収穫のほうれんそう(12~1月収穫)とちぢみほうれんそうう、赤軸ほうれんそうの数値を比較しました。
Brix糖度に関しては、ちぢみほうれんそうが冬季収穫のほうれんそうと赤軸ほうれんそうより約1.3~1.4倍と高い傾向にありました。冬が旬で栄養価が高い時期のほうれんそうより、これほどちぢみほうれんそうの方が、Brix糖度が高くでるというのは驚く方も多いのではないでしょうか。
また抗酸化力(植物ストレス耐性力)とビタミンC含量に関しては、ちぢみほうれんそうと赤軸ほうれんそうが、冬季収穫のほうれんそうよりも約1.2~1.4倍と高い傾向にありました。
こうした寒締め用のほうれんそうや、根本や軸が赤くなったほうれんそうを積極的に選ぶと、冬のほうれんそうの栄養価をより効率よく摂れるということですね!
寒さが増してきましたので、旬のほうれんそうを食べて年末をしっかりと乗り越えていきましょう!
2023年も青果ラボをご購読頂きまして、誠にありがとうございました。
新年も引き続きどうぞよろしくお願いします。
参照
※1 冬限定の「冬締めほうれんそう」-技術開発で作り出された新しい旬-(https://www.naro.go.jp/PUBLICITY_REPORT/season/049453.html)
※2 各産地の『ちぢみほうれん草』(https://www.tokyo-seika.co.jp/business/prod/230130/)
※3 寒味・極 甘く肉厚な「ちぢみほうれんそうう」の新定番、濃緑、重量感もグレードアップ(https://www.tokitaseed.co.jp/bai.php?varietycode=8162)
※4 寒締めほうれんそう新品種「雪美菜02(試作系統名雪911)」の特性と栽培の要点(https://www.snowseed.co.jp/wp/wp-content/uploads/grass/grass_2017_08.pdf)
※5 ほうれんそうは寒締め栽培で食味が向上し抗酸化能が高まる(https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/tarc/060857.html)