ほろ苦さと爽やかな香りが魅力! 山菜の代表格、春野菜【ウド】

みなさん、こんにちは!
この冬はエルニーニョ現象により「暖冬」と言われ、日が出る日中は暖かく過ごしやすい日もありますが、曇りや雨の降る日は本当に寒い冬に様変わりし、天気の変動が凄まじいですよね。3月前半も比較的寒い日が続く予報となっているので、春がくるまでもうひと踏ん張り、体調を整えて頑張っていきましょう!

いきなりですが、「春」と言えば『緑が芽吹く季節』と、連想する方も多いのではないでしょうか。この3月は山菜の収穫が始まり、正に『緑が芽吹く季節』と言えます!山菜と聞くと春の訪れを感じる野菜のひとつですよね。
そこで、今回は山菜の代表格『ウド』についてご紹介します!

ウドはウコギ科(Aralia cordata)の多年草の野菜で、原産地は日本、朝鮮半島、中国東北部とされ、日本では若い芽や軟化した茎を食べる茎葉野菜として扱われています(※1,2)。

ウドの主な生産形態には、大きく分けて2種類が存在し、軟化(軟白)ウドと山(緑化)ウドというものがあります!では、それぞれの特徴を見てみましょう!

【軟化(軟白)ウド】
ウド室と呼ばれる地下穴にウドの根株を伏せ込み、真白に伸長させた茎を収穫する。(※1)

【山(緑化)ウド】
露地または日光のあたる施設に伏せ込んだ根株をもみ殻などで厚く被覆し、新調してきた茎を収穫するもので、株元だけ白く軟化し、日光にあたった茎の先端は緑色化している。(※1)

また、主な品種としては、白系品種と赤系品種の色で分ける場合や、休眠がほとんどなく萌芽しやすい「寒ウド」と休眠のある「春ウド」という、休眠の深さで分ける場合とで、大きく分けられます。

栽培状況においては、政府統計(令和2年産都道府県別)において、全国出荷量1,300トンのうち、栃木県(471トン、36.2%)、群馬県(454トン、34.9%)、秋田県(127トン、9.8%)、北海道(44トン、3.4%)、東京都(42トン、3.2%)の順となっています(※4)。東京都では、なんと立川市が都内1位の収穫量(令和3年)となっています。(※5)知らなかった方も多いのではないでしょうか?

食べる部位としては軟化した茎と若い芽の部分になります。特に芽生えについては爽やかな香りと風味があり、昔から親しまれてきた山菜になります。食べたことのない方も多いかと思いますが、酢につけてアクを取り、炒め物や和え物、みそ汁など様々な料理で美味しく食べることができます。普通のスーパーなどではまず見かけませんが、産地の直売所や道の駅、ネットでも購入ができるそうなので気になる方はこの春、ウドの料理に挑戦してみてはいかがでしょうか。

前半でお話しした通り、生産形態には軟化ウドと山ウドの2つがあるとご紹介しましたが、栄養的にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は日本食品標準成分表(八訂)増補2023年のミネラル類の数値をもとに比較したので見ていきましょう
山ウドおよび軟化ウド(加工前後)におけるミネラル類の比較 オレンジ色の棒グラフ「軟化ウド/茎/生」を基準(100%)としたとき、比較すると7種のミネラル全てにおいて山ウドが高い結果となりました。

ミネラルは土壌由来で作物に吸収されます。山ウドも軟化ウドも同じ土壌での栽培ですが、日光に当てているか遮光しているかの違いで、ミネラルの数値に差が出ているという面白い結果となりました!

また、軟化ウドについては生と水さらしの加工前後による比較も見られますが、鉄が一番減少するなど、ミネラル類によって減少率が異なることも大変興味深いですね!

これから春野菜が美味しくなる季節となりますので、山菜をはじめ皆さまもぜひ味わってみてください!

RAKUSAIでは、これからも青果ボックスに入っている野菜や果物の情報を、データと共にご紹介していきます。

参照
※1 東京都農林総合研究センター研究報告 Vol.13:81-112,2018
※2 農学基礎セミナー 新版 野菜栽培の基礎.社団法人農山漁村文化協会(2005)
※3 野菜栽培技術指針 秋田県農林水産部(平成19年3月)
※4 政府統計(e-stat)令和2年産都道府県別の作付面積、収穫量及び出荷量(葉茎菜類)
※5 立川市 東京うど(https://www.city.tachikawa.lg.jp/sangyoshinko/sangyo/nogyo/tokusanhin/tachikawaudo.html)