新年度が始まるこの季節は、何かと環境に適応していくために体が常に緊張しやすくなり、自身が思っているより疲れが溜まりやすい時期ではないでしょうか。そこで今回は、身体を労わる優しい食べ方!【ベジファースト】についてご紹介します。
皆さんは「ベジファースト」という言葉をご存じでしょうか?「ベジタブル・ファースト」、つまり「野菜を一番最初に食べる」食事方法のことです。
野菜を先に食べることが、どのように健康につながるのでしょうか?
ポイントは「血糖値の上昇を緩やかにし、身体への負担軽減させる」というところになります!
始めに血糖値のメカニズムについて勉強していきましょう!
まず食事により糖質を摂取することで、口の中で細かく嚙み砕かれながら唾液で分解されます。次に食道・胃を通り、最終的に小腸でグルコースに分解、吸収され、血液中に取り込まれます。
その結果、血中のグルコース濃度が上がる、つまり血糖値が上がります。血糖値が上がるとすい臓からインスリンというホルモンがつくられ、血中のグルコースを体内へ吸収し、血糖値を下げる役割を担っています。
しかし、炭水化物などを先に食べると、血糖値が急激に変化し、体に良くない影響を及ぼすと言われています。
みなさんは「血糖値スパイク」という言葉をご存じでしょうか。
食後の血糖値が急上昇と急降下を起こす状態を「血糖値スパイク」といいます。血糖値スパイクは、すい臓の衰えに伴いインスリンを分泌する能力が弱まると、分泌量が減ったり、分泌するタイミングが遅くなったりします。
すると、細胞がグルコースを取り込むことができず、血糖値の急激な上昇を起こしてしまいます(食後高血糖)。さらに急上昇した血糖値をおさえるために、後からインスリンが大量に出てしまい、今度は血糖値の急降下を招いてしまいます。
こうした血糖値の乱高下はすい臓に過度な負担を与えるとともに、血管にダメージを与え、動脈硬化を引き起こしてしまい、心筋梗塞や脳卒中になるリスクが高くなると考えられています。※1
血糖値の上昇と聞くと「炭水化物中心の食事ばかりだと太りやすい」、「食後は血糖値が上がって眠くなる」という印象を持っている方が多いかと思いますが、すい臓への過度な負担により、こうした身体への影響が日々の食事で起きる可能性があるということ、知らない方も多かったのではないでしょうか?
そこで、身体を労わる食べ方の一つにベジファーストがあります。
総摂取カロリーは同じでも、食べる順番を野菜から摂取することによって、血糖値の上昇を緩やかにする働きがあると言われています。
「食べて体に入ってしまえばみんな同じじゃないの?」と思われる方もいるかと思いますが、次のグラフのベジファーストを実践した試験では、きちんとベジファーストの効果が見られています。※2
「血糖値の変化」と「インスリンの分泌量の変化」のそれぞれのグラフにて、いずれも「ご飯、野菜の順で摂取」に比べ、ベジファーストの「野菜、ご飯の順に摂取」では上昇が緩やかになり、血糖値の上昇を抑えているということがわかりました!
食べて体に入ってきた順番で消化が始まっている、ということが良くわかるかと思います!
またよく噛むことで消化酵素のアミラーゼを分泌し、胃腸での食べ物の消化吸収を促進されるため、「よく噛んで食べる」ことにより、ベジファーストの効果がきちんと発揮されると言えそうです。
また、体内に入ってきた食べ物は体内で分泌されるアミラーゼやリパーゼ、プロテアーゼなどの分解酵素があります。そして、野菜(大根など)によっても消化を助ける分解酵素が含まれています。
これは炭水化物(ご飯など)や脂質(焼き肉など)にはない、野菜特有の力です。体内で分泌される消化酵素に加え、ベジファーストの野菜の消化酵素が加わることにより、さらに消化を助けてくれるというメリットがあります!
有名な食物酵素としてパパイヤに含まれる「パパイン」という成分があります。
タンパク質の分解酵素で、耐熱性に優れていることから洗顔などの製品にも用いられている食物酵素となっています。ぜひ気になる方はチェックしてみて下さい!
今年度は、野菜から食べる「ベジファースト」を積極的に取り入れて、野菜のパワーを存分に活用した健康な身体づくりを実践していきましょう!!
RAKUSAIでは、これからも青果ボックスに入っている野菜や果物の情報を、データと共にご紹介していきます。
参照
※1 済生会 血糖値スパイクを防止しよう(https://www.saiseikai.or.jp/medical/column/blood_sugar_spike/)
※2 今井ら:糖尿病患者における食品の摂取順序による食後血糖抑制効果 糖尿病, 53(2):112-115, 2010.