生食で機能性を発揮⁉ 歴史ある主要野菜【長ネギ】

立春が過ぎて暦の上では春になりました。
しかし、大寒波が日本列島にかかり、ようやく冬本番を感じる方も多かったのではないでしょうか。寒い日には鍋など暖かい料理が食卓に並ぶ機会が多いことでしょう。
そこで、今回はそんな鍋料理にかかせない「シュンギク」についてご紹介します。

まず、冬季に旬を向かえ、市場に出回っているシュンギクですが、なぜ『春菊』と書くのかを皆さんご存じでしょうか。
シュンギクは観賞用の菊と同じキク科の植物になります。シュンギクは春になると、この観賞用の菊と似た黄色い花を咲かせることから『春菊』となったと言われています。

「春に花を開き、菊に似るが故」と江戸時代の辞典にもその名の由来が示されています(※1)。
また、主に関西地方では「菊菜(きくな)」と呼ばれることもあります。

シュンギクはキク科シュンギク属の1~2年草です。キク科の植物は世界中でどこでも生育が可能で、最も進化し分化している植物であるとも言われています。
食卓に馴染みのあるレタスやサラダ菜、また焼肉に欠かせないサンチュなども同じキク科の野菜。意外にもゴボウやフキもキク科の野菜なのです!
このように様々な形態に進化してきたことが分かるかと思います。

シュンギクは葉の大きさや切れこみの具合などによって様々な品種に分かれています(※2)。

株立ち中葉::関東地方を中心に栽培される品種です。株立ちした茎を摘んで利用した後も、次々に出る脇芽の茎葉を摘み取って出荷されます(※2)。

大葉:主に中国・九州地方で栽培される品種で、おたふく菊菜とも呼ばれます。葉の形は大きくて丸く、ふちの切り込みが浅く葉肉が厚いのが特徴です(※2)。

株張り中葉:関西地方を中心に栽培されている品種で、菊菜とも呼ばれます。生育しても茎が立たず、株が横に張っている「株張り」を根つきのまま、もしくは根本から切り取って出荷されます(※2)。

シュンギクの機能性については、ホウレンソウやコマツナ同様にβ-カロテンを含む緑黄色野菜となります。
そこで、今回のデータ比較では、同じ緑黄色野菜であるホウレンソウ、コマツナ、シュンギクの3種類について、食する状態でのビタミン類やミネラル類を比較してみました。(日本食品標準成分表の数値(ゆで)を参考にグラフを作成)

ビタミン類、ミネラル類を比較しました

ビタミンKとナトリウムについては、いずれもシュンギクが最も多い含有量となりました。
ビタミンKは正常な血液凝固能を維持する働きがあります。ビタミンKは脂溶性ビタミンのため、加熱にも強く、調理による栄養素の損失も抑えられます(※3)。

またビタミンAは、最も高い数値のホウレンソウとほぼ同等の値となりました。カロテンが体内に吸収されるとビタミンAに変化し、皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きがあります(※4)。

またシュンギクと言えば、その独特な香りも大きな特徴です。これはα-ピネン、ベンズアルデヒドなどの精油成分によるもので、胃腸の働きを整えて、のどの炎症を防ぐとされています(※5)。

昨今では苦味や香りが弱めでサラダにしても食べやすいシュンギクの品種も市場に出回り、より身近な野菜になってきています。野菜不足な方の強い味方になるシュンギク、是非とも積極的に食べてみてはいかがでしょうか。

RAKUSAIでは、これからも青果ボックスにはいっている野菜や果物の情報を、データと共にご紹介していきます。

参照
※1 技術と普及 続 野菜の機能性 第12回 シュンギク(2014年12月号)
※2 元農林水産省野菜試験場育種部 芦澤 正和(https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/yasai/1112_yasai1.html)
※3 愛知県産業技術研究所研究報告.近藤正夫、高木里枝、羽田野早苗.食品中のビタミンKに関する研究.2003. 2号,p.120-123
※4 知っていますか?栄養機能食品
(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/pdf/food_labeling_cms206_20200730_02.pdf)
※5 女子栄養大学名誉教授 吉田企世子 監修「色の野菜の栄養辞典」