生食で機能性を発揮⁉ 歴史ある主要野菜【長ネギ】

皆さん、こんにちは。早くも1月が終わり2月に入りました!
2月は和風月名で「如月(きさらぎ)」と呼ばれますが、なぜ「きさらぎ」となったかご存じでしょうか。
「きさらぎ」の語源は諸説ありますが、寒さが厳しい時期に衣をさらに着るという意味の「衣更着(きさらぎ)」という説が有力と言われています。一番寒さが厳しくなる時期ということで、引き続き風邪や感冒ウイルス対策をしていきましょう。

今回は、冬には欠かせない歴史ある主要野菜「長ネギ」についてご紹介します。 ネギ科ネギ属の長ネギの原産地は中央アジアや中国西部と言われ、中国では6世紀頃から栽培されてきました。日本には8世紀頃に伝わり、平安時代には主要な野菜の一つとなりました(※1)。

京都の「九条ネギ」はこの頃から栽培され、京の伝統野菜の中で最も古い歴史を持っています。江戸時代には栽培方法が確立され、中期になると愛知県の「越津ネギ」が幕府へ献上されるようになり、後期には「下仁田ネギ」の栽培が始まります(※1)。

現在も多くの品種が各地で栽培されていますが、今回の青果ボックスにはネギの中でも「深谷ネギ」というネギが入っています。
深谷ネギは品種名ではなく、埼玉県の深谷地方で栽培されたネギの総称となります。

また深谷市街の利根川流域で栽培されたネギも「深谷ネギ」の名称で販売されているので、かなり広範囲で名づけられているブランドになります。その特徴は繊維のきめが細かくて柔らかいことです。特に冬の深谷ネギは甘く、地元では「ネギぬた」といった加熱したネギに酢味噌と和える料理が有名です(※2)。

そこで、今回のデータ比較では、埼玉県深谷市で栽培されたネギを「深谷ネギ」と定義したデータと、それらを除いた「長ネギ(深谷ネギを除く)」(以下、長ネギと呼ぶ)を比較してみました。収穫期間は長ネギの旬の時期と言われる冬季頃(12~3月)となります。

長ネギについてBrix糖度、ビタミンC含量、抗酸化力を比較してみました

Brix糖度は、深谷ネギの特徴でお話しした通り、長ネギに比べて深谷ネギの方が、約3割値が高い傾向となりました。
ビタミンC含量については約1割、長ネギよりも深谷ネギの方が低い傾向にありましたが、抗酸化力《植物ストレス耐性力》においては、深谷ネギの方が長ネギよりも約2割高い値となり、逆転しています。

一般的には野菜が持つ抗酸化成分としてはビタミンCがよく知られていますが、これは、ビタミンC含量以外の成分の影響が大きいことが考えられます。その成分の例として、長ネギ特有の辛みの基となるスルフィド類や硫化アリルの一種であるアリシンなどが考えられます(※1)ので、深谷ネギの方ではこれらが寄与し、抗酸化力《植物ストレス耐性力》の値が伸びたのかもしれません。

アリシンにはビタミンB1の吸収を助け、糖の働きを円滑にする働きがあります。また疲労回復や冷え性の改善に持続的な効果を発揮するほか、がんや動脈硬化の予防にも役立つのではないかと考えられています(※3)。

また、アリシンは水溶性で、加熱に弱い成分なので、食べる直前に刻んで薬味などの生で食べていただくのが一番効率のよい摂取方法となるのでお勧めです。

とはいっても、今がネギの甘味を存分に楽しめる時期でもありますので、炒め物や鍋料理などで、より長ネギの旨味をしっかりと味わって頂ければと思います。是非、旬の長ネギを積極的に食べてみてください。

RAKUSAIでは、これからも青果ボックスに入っている野菜や果物の情報を、データと共にご紹介していきます。

参照
※1 技術と普及 農産物の機能性 第53回 ケール(2019年4月号)
※2 深谷市 深谷ねぎの歴史(https://www.city.fukaya.saitama.jp/soshiki/sangyoshinko/nougyoshinkou/tanto/tokusan/fukayanegi/13896.html)
※3 女子栄養大学名誉教授 吉田企世子 監修 「色の野菜の栄養辞典」ネギ