多様な効能をもつ香味野菜【セロリ】

皆さん、こんにちは。
3月に入り、関東地方では春の陽気を感じる日も増え、ようやく待ちに待った春がやってきました。春は三寒四温を繰り返すと言われるように、時には10℃を下回るなど気温差が激しい日もあります。年度末で忙しい時期になるので、季節の変わり目にもなりますので体調を整えていきましょう。

今回は香り豊かな香味野菜、「セロリ」についてご紹介します。

セロリはセリ科オランダミツバ属で、原産地はヨーロッパや中近東の冷涼高知の湿原と言われています(※1)。
セロリの特徴は何といっても独特の強い香りですよね。「ブーケガルニ(香味野菜の束)」の一つとされ、加熱をしてもその香りは薄れないため、調理用途の幅が広く、サラダの他にスープやシチューなどの煮込み料理では肉の臭み消しや風味付けとしても活用されています。葉に近い部分はより香りが強いので、部位によって使い分けることができます。

令和5年のセロリの全国生産量は28,700tになります。主要産地は、1位が長野県の12,000tで、全国の40%以上のシェアになります。2位は静岡県で4,990t(17%)、3は福岡県で3,630t(13%)と続きます(※2)。セロリは涼しい気候と水分を好む野菜のため、長野県の気候風土は最適な栽培環境となります。

呼び方は「セロリ」や「セロリー」などと言われますが、英語で書くと「celery」となり、これをフランスなまりで読むと「セルリー」となります。洋食が普及し始めた明治頃から、長野県松本市での商用の生産が始まったことをきっかけに、長野県の生産現場では古くからセロリのこと「セルリー」と呼ぶ習慣があるそうです(※3)。主要産地ならではの呼び方ということで大変興味深いですね。

セロリの品種については、大きく分けて3種類あります。
間品種:市場で最も多く出回っているコーネルという品種が中心です。厚みのある薄緑色の茎が特徴です。
緑色品種:グリーンセロリと呼ばれ、肉厚でスジが少なく、強い香りが特徴です。
黄色(白色)品種:ミツバのように茎が白く細井ことが特徴で、ホワイトセロリと呼ばれています。

今回の青果ボックスにはこの「ホワイトセロリ」が入っておりますので、いつもと違うやさしいセロリの風味や味わいをぜひご堪能ください。

今回のデータ比較は、市場で最も多く出回っている中間種のセロリの葉と茎と、ホワイトセロリの3つの数値を比較してみました。グラフは「セロリ(茎)」を100としたときの相対値で表しています。

セロリの茎、セロリの葉、ホワイトセロリの抗酸化力とビタミンC含有量を比較してみました

抗酸化力(植物ストレス耐性力)、ビタミンCともに、セロリ(葉)、ホワイトセロリ、セロリ(茎)の順で高い値となりました。

上記の結果から、茎の部位をメインに食べることの多いセロリですが、葉も一緒に食べると良いことがお分かりいただけるかと思います。香りの強さと抗酸化力には相関性があるので、香りが強いセロリの葉は、茎よりも数値が高くなったと考えられます。

また、ホワイトセロリは茎が細く、葉も小さく食べやすい品種のため、一緒に混ぜあわせて食するため、セロリ(茎)とセロリ(葉)の間の数値になったと考えられます。

セロリの独特の香りはアピインという香味成分になります。精神系統に働いてイライラを抑える働きがあります。また、爽やかな香りで胃液の分泌を促進し、食欲を高める効果もあります。

また、葉の部分は緑色が濃い分、β-カロテンが豊富です。葉に多く含まれる香り成分のピラジンは、血栓をサラサラにする作用があるといわれています(※4)。

1年中で回るセロリですが、旬はこれからの春の時期となります。今年の春はぜひ食卓にセロリを取り入れて、爽やかな特有の香りを楽しんでみてはいかがでしょうか。

RAKUSAIでは、これからも青果ボックスに入っている野菜や果物の情報を、データと共にご紹介していきます。

参照
※1 技術と普及(2017年5月号) 農産物の機能性 第24回 セロリ
※2 政府統計(e-stat)令和5年産野菜生産出荷統計 うちセロリ
※3 JA長野県 いいJAん!信州 農畜産物情報 セロリ(https://www.iijan.or.jp/chikusan/product7)
※4 色の野菜の栄養素辞典 女子栄養大学 名誉教授 吉田企世子