全国的に春らしい穏やかな気候になってきました。一方で、朝晩との寒暖差はまだまだ続きそうで、服装の調整が難しい季節ですね。
気温差で疲れがたまりやすくなるため、しっかりと休養を取ってリフレッシュしていきましょう!
今回は元気の源、スタミナ食材の『ニンニク』についてご紹介します。
ニンニクは中央アジア原産といわれ、紀元前3200年ごろには古代エジプトで食されており、ピラミッド建設を支えた労働者たちの一種の強壮剤として利用されていたと言われています(※1)。
日本へは少なくとも1000年以上前から中国より伝わり、薬用として栽培されていたそうです。ニンニク特有の強い臭いが好まれなかったため食用として利用されず、仏僧、公家、武士などのもとでは食することを禁じていたとされています。第二次世界大戦後から中国料理や西洋料理の普及などにより食用への利用が盛んになったようです(※1)。
ニンニクは地下茎が大きくなったものを食することが一般的ですが、系統は大きく分けると寒地栽培と暖地栽培の二つに分けることができます。
寒地栽培の品種は青森県や北海道などで作付けされており、ホワイト種と呼ばれる「福知ホワイト」などがあります。地下茎が6片に分かれて粒が大きく、甘味が強いのが特徴です。
暖地栽培の品種は上海早生などがあり、粒は10~13片と寒地栽培より粒が小さく、匂いや辛味を強く感じず、マイルドな味わいが特徴です(※1)。
ニンニクの生産が盛んな産地といえば青森県。全国のニンニク収穫量が20,400t(令和4年時点)に対し、青森県は13,500tと、66%のシェアになります!
続いて2位が北海道973t(シェア4.8%)、3位は香川県で728t(シェア3.6%)(※2)と、青森県がダントツのシェア率です。
前述した通り青森県のニンニクは、青森県の寒冷な気候にあった寒地栽培のものが栽培されています。
今回の青果ボックスではこの青森県産のニンニクが入っておりますので、是非、甘味の強いニンニクを是非ともご賞味ください。
今回のデータ比較では、寒地栽培と暖地栽培の二つの系統の差を、グループ会社(デザイナーフーズ(株))のデータから比較してみました。暖地系品種として上海早生、平戸、嘉定種、山東ニンニクを、寒地系品種としてホワイト系(福地ホワイト含)、たっこ1号を採用しています。
Brix糖度、抗酸化力(植物ストレス耐性力)、ビタミンC含量ともに、暖地系ニンニクよりも寒地系ニンニクの方が高い傾向が見られました。
ニンニクの強い香りのもとは、辛味成分である「アリシン」というものです。
ニンニクは、ネギ類に含有される硫化アリルに似た成分であるアリインが含まれており、酵素の働きによってアリシンに変化します。このアリシンは抗ガン予防、また加熱すると血液をサラサラにして血栓を防ぐなどといった抗酸化作用を発揮すると言われています(※3)。
寒さに強く、寒暖差で味が強くなる寒地系ニンニクと、ニンニク特有の辛味や匂いが少なく、食べやすいとされる暖地系ニンニクでは、このアリシンの含有量により、数値に差が見られたと推測します。
また、アリシンは体内でビタミンB1と結合すると吸収率を高め、エネルギー代謝をスムーズに行う役割を果たすとされています(※3)。なので、ビタミンB1を多く含む豚ヒレ肉や豚もも肉、ダイズなどと合わせると疲労回復におすすめの組み合わせになります(※4)。
ニンニクの収穫時期は5~7月になりますが、乾燥し保管されるため国産でも通年で楽しむことができる食材です。季節の変わり目で、最近は「春バテ」という言葉もあります。是非ともニンニクのアリシンの力で体調を整えてみてはいかがでしょうか。
RAKUSAIでは、これからも青果ボックスにはいっている野菜や果物の情報を、データと共にご紹介していきます。
参照
※1 独立行政法人農畜産業復興機構 ニンニクの需給動向(https://www.alic.go.jp/content/001210553.pdf)
※2 農林水産省「令和4年産都道府県別の作付面積、10a当たり収穫量、収穫量及び出荷量(にんにく)」
※3 旬の野菜の栄養辞典(監修 吉田企世子)にんにく
※4 実業之日本社 改訂版 野菜検定(監修 杉本晃章)にんにく