6月は全国各地で梅雨入りの時期ですね。雨や湿度の影響で体も心も調子を崩しやすい季節です。軽い運動をしたり、旬の食材を上手に取り入れたりして快適に過ごしましょう!
そこで今回は、初夏を告げる代表的な旬の味覚の【サクランボ】を取り上げます。
サクランボは、別名で桜桃(オウトウ)と呼ばれ、バラ科サクラ属の植物です。
サクランボの品種は、もともと3つの品種を起源としています(※1)。1つ目は、西アジアからヨーロッパを原産とする「甘果桜桃(西洋実桜)」で、知名度の高い「佐藤錦」もこれに属します。2つ目は、アメリカ大陸で栽培される「酸果桜桃(酸実美桜)」で、アメリカンチェリーとしても店頭でよく見られます。3つ目は、中国原産の「中国桜桃(シナノミザクラ)」で、国内で流通している品種に「月山錦」があります。
日本で食べることができるサクランボの主な種類を紹介します(※2)。
【佐藤錦】
豊かな甘みと多汁でみずみずしい食感が味わえるのが最大の特徴です。また、見た目の美しさも魅力の1つ。粒はハリがあり、鮮やかな紅色に輝く見た目は「食べるルビー」と称されるほどです。
【紅秀峰】
粒が大きく果肉がやや硬めなので食べ応えがあり、日持ちがしやすいことが特徴です。それに加え、しっかりとした甘さを持っているので、食べた後の満足度が非常に高い品種です。
【高砂】
粒はやや小さめで種が大きく、果肉が柔らかいのが特徴。しっかりとした酸味があるのでさっぱりとした味わいをたのしむことができます。
【ナポレオン】
ハート型をした果実はやや大きめで、完熟すると綺麗に紅色に色づくので、見た目がとても綺麗です。甘さと酸味のバランスの取れた味わいです。
【月山錦】
見た目が黄色いサクランボで、希少価値の高い品種です。実は甘く、クリーミーな味わいで、後味がさっぱりしています。
【アメリカンチェリー】
粒が大きく果皮の色が濃いのが特徴です。酸味のない濃い甘さとフレッシュな香りが味わえます。
見た目も可愛く、季節感たっぷりなサクランボ。楽しみながら食べ比べてみるのもいいですね!
令和6年度のサクランボ(オウトウ)の全国生産量は、10,000tとなり、主要産地は、1位が山形県の7,390tで、全国の70%以上のシェアです。2位は北海道で1,130t、3位は山梨で434tと続きます(※3)。サクランボは、夏の暑さに弱く、雨の多い地方での栽培が難しいため、内陸型盆地の温度格差がある地域での栽培が向いています。
それでは、サクランボの栄養成分について注目してみましょう!
サクランボに含まれる特徴的な栄養成分として、カリウム、アスパラギン酸、鉄、葉酸、ビタミンC、β-カロテンがあげられます。そこで今回は、実際にこれらの栄養成分がサクランボにどれくらい多く含まれているのか、同時期に旬を迎える果物のイチジク、ブルーベリー、白桃で比較してみました。
表の通り、サクランボにおける6つの特徴的な栄養成分は、他の果物と比べて全て高い傾向であることがわかりました!
特徴的な成分のもつ機能性をそれぞれご紹介します。
まず、カリウムは、体の余分な塩分を水分と共に排出してくれる働きがあり、加えて、アスパラギン酸は血液の塩分調整にも働く成分です(※4)。そのため、サクランボはむくみ対策にお勧めできる果物と言えます。
また、サクランボに含まれる葉酸は、「造血のビタミン」ともいわれ、赤血球を作り出すのに欠かせない栄養素、そして、ビタミンCについては、鉄を吸収しやすい形に変化させて、鉄とともに貧血の予防に効果があります(※4)。
β-カロテンにおいては、体内でビタミンAに変換され、夜間の視力の維持や、皮膚の粘膜の健康維持を助ける働きがあります(※5)。サクランボの赤い色素はカロテノイドの色素も含まれているため、比較した果物と比べて数値が高くなったと考えられます。
サクランボが、このような色々な成分をバランスよく備えていたということを知らなかった方も多いのではないでしょうか。
梅雨の季節は気圧が変化し、自律神経の働きの乱れや血流の悪化で、むくみや心身の不調にも繋がりがちです。そんな時には、甘くて栄養バランスがとれているサクランボを是非とも、いただいてみてはいかがでしょうか。
参照
※1 技術と普及第73回
※2 JAさがえ西村山(https://jasagae.sanchoku-prime.com/blog/others_4)
※3 令和6年度産都道府県別の結果樹面積、10a当たり収量、収穫量及び出荷量おうとう
※4 栄養学の基本(渡邉昌監修)
※5 知っていますか?栄養機能食品(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_ claims/assets/food_labeling_cms206_250403_13.pdf)