今年は平年よりも梅雨明けが早いぶん、夏本番の厳しい暑さや寝苦しさが長く続きそうです。日々の食事の中にみずみずしい旬の野菜を取り入れて、体調管理には一層の注意を心がけたいものですね。
そこで、今回は、水分が豊富に含まれている野菜の代表格!【キュウリ】についてご紹介します。
キュウリはウリ科キュウリ属の一年草で、インド北西部のヒマラヤ山麓が原産地とされ、3000年も前に栽培が始まりました。日本には中国を経て平安時代に渡来したとされています。熟すと黄変するので「黄うり」ともいわれ、これが現在の「キュウリ」の名のもとになっています。
日本で栽培が盛んになったのは明治以降で、品種改良により苦味の少ない品種が出回るようになりました。世界中では500種もの品種のキュウリが栽培されていますが、日本の品種は、白いぼ種の華北型、黒いぼ種の華南型、ピクルス型の3種に大きく分けられます。現在では、果実全体が緑色で生食用として見栄えがし、皮が薄く歯切れのよい白いぼ種が日本の生産量のほとんどを占めています(※1)。
令和6年度のキュウリの全国出荷量は、440,220tとなり、主要産地は、1位が宮﨑県で55,300t、2位は群馬県で45,800t、3位は埼玉県で36,800t、4位は福島県で34,800t、5位は千葉県で26,100tと続きます(※2)。露地栽培での旬は夏ですが、ハウスなどの施設栽培が7割を占め、その結果、周年出荷が可能となっています(※3)。
この時期は、太陽の光をたっぷり浴びて育った露地栽培によるキュウリが出回っていますので、是非ともお手に取ってみてはいかがでしょうか。
では、次にキュウリの栄養価について注目してみましょう!
キュウリは水分が95.4%と水分含有量が多く、一方で栄養素はあまり豊富ではありませんが、淡色野菜としてはカリウムやβ-カロテンを豊富に含みます。その他、ビタミンC、Kなどのビタミン類や亜鉛、マグネシウムなどのミネラル類も、少量ながらバランスよく含んでいます(※1)。
ビタミンCやβ-カロテンには発がん物質が体内で作られるのを阻止する働きがあり、カリウムには血圧を下げる働きがあります(※4)。
では、キュウリと旬が同じ夏のウリ科の野菜である「ズッキーニ」と「トウガン」について、β-カロテン含量、ビタミンC含量、カリウム含量を比較してみました。
β-カロテン含量は、キュウリ(330µg/100g)はズッキーニ(310µg/100g)に比べてやや高い値となりました。上記のウリ科の中では、キュウリが最もβ-カロテン量が多いことがわかりました。
また、ビタミンC含量については、トウガン(39mg/100g)>ズッキーニ(20mg/100g)>キュウリ(14mg/100g)の順に多く含まれ、カリウム含量に関しましては、キュウリとトウガン(200㎎/100g)に比べ、ズッキーニ(320㎎/100g)は1.6倍と高い値となりました。
しかしながら、ビタミンCとカリウムについては、水に溶ける性質をもつ成分となるので、加熱調理をするズッキーニやトウガンにおいては損失してしまう可能性があります。
その点において生で食べられるキュウリは、成分の損失なく栄養成分をまるごと摂取できる野菜であると言えます!
キュウリは一見、栄養が豊富でないと思われがちですが、丸ごと生で食べられることから栄養を余すことなく摂取ができ、更に水分補給もできる万能な野菜です!そのうえ手軽に食べられるのも魅力の一つですよね。今年も長期的に熱い日が続くことが予想されますので、疲れを感じたら是非ともみずみずしいキュウリを積極的に食べていきましょう。
RAKUSAIでは、これからも青果ボックスにはいっている野菜や果物の情報を、データと共にご紹介していきます。
参照
※1 今月の野菜きゅうり(https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/yasai/0805_yasai1.html)
※2 令和6年産都道府県別の結果樹面積、10a当たり収量、収穫量及び出荷量 きゅうり
※3 きゅうりの需要動向 2024年9月号(https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/yasai/2409_yasai1.html)
※4 野菜・果物をとろう!:農林水産省 (https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics2_04.html)