早いもので今年も3分の2が過ぎ、いよいよ9月がスタートとなりました。まだまだ残暑が厳しい日々が続いていますが、暦の上では9月8日頃からは、二十四節気で「白露(はくろ)」になります。
白露は、少しずつ空気が冷えてきて、草木に白い朝露がつく頃という意味の季節です。朝夕で寒暖の差が激しい日があり、台風、長雨による気圧の変化により体調を整える自律神経のバランスが乱れ、血液のめぐりが悪くなる事で、免疫力の低下にもつながりやすい時期です。リラックスする時間を作り、自律神経を整えて体調管理に努めたいものですね。
そこで今回は、そんな「白露」に食べたい、免疫力を高める成分を含む旬の野菜【なす】についてご紹介します。
なすの歴史は非常に古く、原産地はインド東部、紀元前には既に中国に伝わっていたといわれています。温帯では一年草ですが熱帯地方では多年生植物となり、世界各地で独自の品種が育てられ、その数は1,000種類にも及ぶといわれています。
日本でも奈良時代には既に栽培が開始され、平安時代の書物にはその栽培方法だけでなく、漬物の作り方まで記載されているほど日本人にも古くから親しまれている野菜です(※1)。
なすの種類にはどんなものがあるのでしょうか。日本で栽培されているなすの種類は180種類以上とも言われています。最も広く流通しているのは中長品種の『千両なす』です。また長さが20cm以上の『長なす』や、主に九州で栽培されている40cm以上の『大長なす』もあります。
一方、長さが5cm前後の小実品種の『小なす』は、冬季の保存食として漬物に加工しやすいことから北の地方で多く栽培されてきました。丸い形が特徴の『丸なす』は煮崩れしにくく煮物や焼き物におすすめです。
また、なすは大きさ・形のみならず、色も様々。熊本の伝統野菜として大正時代から生産されている『赤なす』、加熱調理に向く『青なす』や『白なす』、紫と白が交互に混ざった『ゼブラなす』もあります。また、青なすや白なすと同様にヘタの部分が紫色ではなく緑色なのが『米なす』。米なすも加熱調理に適しているため、油をしいたフライパンでじっくりと焼く「なすステーキ」等の食べ方がおすすめです(※1)。
今回の青果ボックスには【米なす】が入っています。是非、ご賞味ください。
次に、なすの栄養成分について注目してみましょう!
なすは血流を良くしたり、体にこもった熱を冷やしたり、胃腸のはたらきをよくする作用があるといわれています。また、なすには、紫色の皮に含まれる色素成分の「ナスニン」や渋味の成分である「クロロゲン酸」が含まれており、これらのポリフェノール類は抗酸化作用があり、活性酸素や発がんの抑制などに効果があるといわれており、免疫力を高める成分としても期待されています(※2,3)。
では、なすの品種によって栄養成分に差はあるのでしょうか。そこで今回のデータ比較では、グループ会社(デザイナーフーズ(株))のデータから、米なす、千両なす、長なすの3つの品種を比べてみました。
米なすは、千両なす、長なすに比べて、抗酸化力《植物ストレス耐性力》については約1.1~1,3倍、ビタミンC含量においては約1.4~1.6倍と高い値となりました。抗酸化力《植物ストレス耐性力》が高いなすはビタミンC含量も多いという関係が見られました。これはビタミンCが抗酸化作用に起因していると考えられます。
また、米なすは長なすに比べると、クロロゲン酸と抗酸化力がともに高い傾向であるという研究結果も見られることから(※4)、上記のように抗酸化力において差が見られたのかもしれません。
同じなすでも数値で見える化することにより、実際に品種間の差が明らかとなりましたね!
野菜や果物類の種類や品種は膨大ですが、それぞれの持つ抗酸化成分に注目して、素材やメニュー選びをするのもお勧めです。
免疫力が低下しやすい「白露」の節気、なすを食して体調を整えてはいかがでしょうか。
RAKUSAIでは、これからも青果ボックスにはいっている野菜や果物の情報を、データと共にご紹介していきます。
参照
※1 技術と普及 農産物の機能性 第51号 ナス(2019年8月号)
※2 今月のやさい:なす 独立行政法人 農畜産業復興機構(https://alic.go.jp/koho/kikaku03_001671.html)
※3 免疫力を高める食事とは 公益財団法人 長寿科学復興財団(https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-
shokuji/menekiryokuotakamerushokuji.html)
※4 ナス果菜の栽培品種・部位別のアントシアニン量、クロロゲン酸量およびラジカル 消去活性 日本食品科学工学会誌 第53巻 第4号(2006年4月)(https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/53/4/53_4_218/_pdf/-char/ja)