朝晩の冷え込みと、涼しく頬を撫でる風に秋を感じるようになってきました。
秋は実りの季節。美味しい果物が次々と店頭にならびますね。
そこで、今回からは秋の味覚の美味しさや栄養素のご紹介をしていきます。
まず第一弾は、【ブドウ】です!
ブドウ属の植物は世界でも数十種ありますが、現在日本で栽培されている品種の祖先は、ヨーロッパブドウとアメリカブドウの2つに分けられます。
各種類の歴史を少し見てみましょう!
ヨーロッパブドウの歴史は古く、紀元前4000年頃には、原産地のコーカサス地方(カスピ海と黒海に挟まれた地域)で栽培されていました。
日本へは、中近東地方からシルクロードを横断して中国へ入った後、奈良時代に伝わったといわれています。
一方、アメリカブドウは、北米が原産の自生種です。
病気等に弱く雨による裂果が多いヨーロッパブドウに比べ、病気や寒さにも強く雨の多い地域でも栽培できるので、日本の気候に適しているとされ、明治時代に導入。
山梨県で栽培に成功し、全国に広がりました。
ブドウは一般的に、カリウム、鉄、亜鉛、銅などのミネラルを多く含みます。
その他、ブドウの機能性にも注目が集まっています。
その発端となったのがフレンチパラドックス。
フレンチパラドックスとは、フランス人の脂肪摂取量が、他のヨーロッパ諸国と大差ないにも関わらず、動脈硬化による虚血性心疾患が少ないことに、赤ワインの飲用が寄与しているのではないか、という事実。
これが世間一般で知られるようになり、ブドウの機能性研究は大きく進みました。
その中でも特に注目を集めているのが、果皮に含まれるレスベラトロール。
高い抗酸化作用を持ち、一酸化窒素の産生促進や血小板凝集の阻害、HDL-コレステロールの上昇効果、発ガン抑制や動脈硬化の抑制等が報告されています。
また、ブドウは果皮の色がいくつかありますよね。
「赤系」、「黒系」、「緑(白)系」と呼ばれるこの果皮の色は、色素の合成度合いによって生まれます。
実はこれらは、未熟なうちはどれも緑色なんです。
これが成長の過程で赤や黒に変わっていきます。
赤系(甲斐路やデラウェア等)、黒系(巨峰やピオーネ、ナガノパープル)、緑系(シャインマスカット、ロザリオビアンコ等)で、その抗酸化力※を比較(図1~図3)してみると、色素の違いも多少はありますが、皮を食べるか食べないかでその差が出る事が分かりました!
色素の蓄積は、光や植物ホルモンの影響を受けることが分かっています。
従って晴天が続く事がブドウの品質にも大きな影響を与えます。
今年は農産物にとって天候に恵まれない日が続きましたが、そのような中でも日の光を精一杯浴びて熟したブドウの機能性とその美味しさを十分に実感して頂ければと思います!
青果日和では、野菜や果物の生理作用や特徴に注目しながら、その美味しさや食べ方をお伝えしていきます。
※ 植物ストレス耐性力