色々な食べ方で楽しむ 【ラッキョウ】

気温の上昇と共に立夏がやってきました。暦の上ではもう夏ですね。
今回は、夏に向けて美味しくなるラッキョウをご紹介します。

ラッキョウは、中国が原産のネギ科ネギ属の植物です。
生薬としての栽培の歴史は平安時代からと非常に古いラッキョウですが、食用として栽培されるようになったのは江戸時代になってからです。

ラッキョウの種類について、下記にご紹介します。

『らくだ』
独特の香りと、ピリッとした辛味を持つラッキョウの代表的な在来品種です。
大粒で比較的長く成長し、一度に収穫できる鱗茎の数が多いのが特徴です。

『玉らっきょう』
小粒で台湾などからの輸入品が多く、漬物が主となる品種です。

『八房』『九頭竜』
「らくだ」と「玉らっきょう」の中間くらいの大きさの品種です。
粒揃いがよく、分球が多いので効率的に多くを収穫することができる品種です。

『エシャレット』
ラッキョウ独特の癖を弱めて食べやすくした品種です。
栽培時に日光が当たらないよう土寄せして軟白栽培にすることで鱗茎がきれいな白色になります。
また、早採りする事で軟らかく、それでいてシャキッとした食感を残します。
青ねぎのような細い葉がついていて、葉の部分を3つに折り曲げて結束し出荷されていますね。

『島らっきょう』
沖縄県で古くから栽培されてきた沖縄県独自の品種です。
一般的なラッキョウより小型で細長い形をしており、ネギに似た強い香りとピリッとした辛味を持ち、天ぷらやチャンプルなどの炒め物、塩漬けや浅漬けなどにして食べます。

続いて、ラッキョウの栄養素や気になる成分のご紹介です!
ラッキョウ独特の刺激臭と辛みの素となる成分は、アリシンを主とする硫化アリル。
硫化アリルはビタミンB1の吸収を助けることから、体内のエネルギーづくりのサポートを行うため疲労回復効果が期待できます。
硫化アリルは強い抗酸化作用を有していますので、今回も測定して調べてみました!
各ラッキョウの抗酸化力※を比較してみると、グラフのような結果となりました。



また、島らっきょうには、酵素反応によってできる水溶性化合物である S-アリル-L-システインが含まれます。これは硫黄原子を含む無臭アミノ酸で、体内での血中への吸収率も高く、腎臓や心臓のアンジオテンシンⅠ変換酵素(ACE)活性を減少させる抗血圧作用が報告されているため、機能性食品としての開発も進んでいるようです。

ラッキョウの嬉しい栄養素はまだまだあります!
実は、食物繊維を多く含み(20.7g/100g)、その約90%は水溶性のフルクタンやイヌリン。
フルクタンは、糖の吸収を遅らせ血糖値上昇を抑制する作用や血中コレステロール低下作用、ナトリウムの吸収抑制による血圧降下作用など、多くの機能性が報告されています。

硫化アリルもフルクタンも水に溶ける性質があるので、効果的に摂取するには、生で食ベるのがお勧めなんです!
旬の短いラッキョウが出回るのは正にこの季節。
生薬としてのチカラを有してきた強い香りと味わいを是非お楽しみください。
青果日和では、引続き旬の野菜や果物についてエビデンスと共に情報を発信して参ります。
※植物ストレス耐性力